私たちは在来工法にこだわります。日本の風土に育てられた工法が、日本の風土に適していると信じているからです。日本の風土で育った部材を使い、伝統の工法で、ていねいにつくることが、快適で、長持ちし、なおかつ愛着がわく家づくりができると考えます。現に、外国では標準工法でも、日本の高温多湿の気候に適応できないことが原因で、多くの問題が起きています。外国だけではありません。国内でも気候が違えば家づくりも違います。梅雨のない北海道で外壁に断熱材(グラスウール)をまんべんなく充填した家が評判をよび、本州でも鳴り物入りで施工されました。しかし数年もたたないうちに断熱材が水分を吸収し、木材が腐り、家がボロボロになるという事件が起きたことをご存じの方も多いと思います。作物と同じで、その土地に適さないものは育ちません。安恒組は福岡に生まれ、根をはり、知り尽くして、家をつくっています。

天然木には癒しの効果があります。木に触れたときと金属に触れたときの心拍数を比較すると、木に触れたときには次第に泊数が減少していくことが知られています。また、木は心を落ち着かせる香りも発しています。ヒノキの香りを好まれる方はたいへん多く、リラックス効果もあるといわれ、腐りにくいので浴室などに使用されます。ヒバ材などは香りと油分から防虫効果があり、納戸などに用いると防虫剤がいらないとまでいわれています。もちろん、湿気をコントロールしたり、空気を浄化したりといった機能もあります。チップを固めた木もどきや突き板合板でもない、本物の木だけが持つ不思議な力。その木の魅力を最大限に生かす家づくりが安恒組のモットーです。

平成13年4月、住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が施行されました。住宅の性能を数値で示し、消費者に満足のいく住宅を提供するためです。しかし、私たちは数値には表すことのできない心理的な性能をも追求しています。住宅建築とは、お施主さまの暮らし方をデザインすることです。当然、お施主さまによっていろいろな暮らしがあります。住宅に求める満足も人それぞれ。まさに「住人十色」なのです。一見ムダのように見える空間や、他人には不合理に思えることが、精神的に重要な役割を果たすことがあるのも知っています。私たちのお施主さまに、古い農家を移築・改築して住んでいる方がいらっしゃいます。その方にとっては数値的に高性能な住宅より、木組みの力強い空間に身を置くことのほうが何倍も幸せなことなのです。

私たち安恒組は明治30年創業です。100年以上前から地元福岡で在来工法一筋。これまで600棟建ててきました。今、「シックハウス症候群」といった家による健康被害が話題になっていますが、ほとんどが「安く、簡単に」をめざして生まれた部材や工法によって引き起こされたものです。家が人の健康を守ることはあっても、脅かすことなどあってはなりません。健康状態や体質は人それぞれ違い「健康住宅」を完全に保証することはできません。しかし、よい素材を使い、ていねいに仕上げた家には健康を守る力があると信じています。私たちは今でもできるだけ合板は使いません。目に見えない屋根の下地材でさえ杉板を使います。それは健康にいいからだけでなく、永く家を持たせるため、本物がいいことを知っているからです。人の健康によい家は、家自体も健康で長生きできるのです。

安恒組は在来工法を中心とした家づくりをしています。しかしすべてにおいて「昔ながら」にこだわているわけではありません。現代の暮らしや新しい考え方を学び、よりよい家づくりに生かそうと努力しています。たとえばバリアフリーや、健康住宅といった新しい考え方、床暖房といった新しい設備や機器の採用など。フットワークの軽さや先進のものを積極的に採用できるのは、大きな組織にはない小さな会社ならではの強みでもあります。しかし流行に流されるだけでは意味がありません。「先々、本当にお施主さまに満足していただけるものは何か。」これをつねに考えて先進の家づくりに取り組んでいます。

残念ながら、マニュアル通りにやれば出来あがるツーバイフォー工法やユニットハウスと違って、在来工法は素人には建てられません。経験に裏打ちされた知識と技が必要です。安恒組は経験豊かなスタッフ(社員)が現場を監督し、社寺建築も手がける職人が施工します。また、お施主さまの要望を汲み取り、これからの暮らしを具体的に提案できる設計士が、カウンセリング、打ち合わせから設計、監理まで行います。熟練の技とプライドを持った職人たちと、お施主さまの要望をとらえ美しくデザインするセンスを持つ設計士。しっかりと連係した家づくりの「両輪」が、真に満足のいく家をつくり、お引き渡し後も責任持ってメンテナンスいたします。

住宅産業はクレーム産業といわれています。いかにお客さまからのクレームをなくすかに腐心しています。材料を選ぶのも本当にいい物ではなく、施工がしやすい、後々のメンテナンスがいらないといった自分たちに都合がいい材料を選びがちです。欠点はあるが多大な長所を持った本物より、長所は少ないが欠点もないニセモノを選んででしまうのです。私たちは在来工法にこだわります。それは時にはたくさんの手間と技術が必要になります。たとえば木材が表面にたくさん露出する和風の建築は、木材の欠点である縮んだり割れたりすることも起こります。そのような時は、背割りを施したり材木を使い分けたりして最小限にとどめる工夫を行います。そこまでしても木が持っているやさしさ、肌ざわりを十分に実感していただきたいからです。本物の住み心地は何ものにも代えがたいものです。

安恒組はいい仕事はするが少し高いとおっしゃられる方があります。しかし、安くできても住宅の寿命が短ければ結果的に高い買い物だと私たちは考えます。日本の住宅の平均寿命は25年といわれています。なんだかさみしくなるような数字だと思いませんか。生活スタイルの変化に対応しにくい構造。これでは愛着のわく家づくりは到底ムリです。安恒組のスタッフはいつもお施主さまの顔を思い浮かべ、先回りしたサービスをこころがけています。それは「ここまでしとけば絶対安心」と思える設計・施工です。しっかりとした基礎をつくり、住むほどに味わいがでる部材を使い、将来家族構成や部屋の用途が変わっても対応しやすい間取りや導線を徹底的に考えます。永く住んでいただくために、私たちは手を抜くことができないのです。

パック旅行のように業者まかせで、早くできあがった家に住みたいとお考えの方には安恒組は期待にお応えすることはできません。私たちはプランからお施主さまと何度も話し合います。そして完成までも時間がかかります。いっしょに考え、できあがる過程をもともに楽しめる方を求めています。また、同時に多くのお施主さまの仕事はできません。手がける仕事は年間3〜5棟程度。私たちの家づくりは本当に熟練した職人にしかできないからです。自分たちがきっちりと目が届く範囲、福岡市とその近郊に施工実績が集中しているのはそのためです。請われるままに受注してしまえば、結果的に質が落ち、お施主さまに満足していただくことができなくなるからです。

安恒組は、地元福岡で多くの施工実績を誇っています。
福岡市中央区の住宅地半径300m以内はこれだけ多くの安恒組が手がけた住宅がございます。
ご近所で安恒組の家を見られたお客様がご相談されるケースもございます。